ウイルス定量法・濃縮法の新規開発に基づいた病原ウイルスの
水道原水における存在実態及び浄水処理性の詳細把握
国立大学法人北海道大学 大学院工学研究院 環境工学部門
准教授
白崎 伸隆氏
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研究概要
病原ウイルスによる水系感染症を制御し、安全な水道水を安定的に供給するためには、病原ウイルスの存在実態、並びに浄水処理工程におけるウイルスの処理状況を把握することが必要不可欠である。 白崎氏は、細菌の生死判別に用いられている光反応性色素とPCR法※1を組み合わせた手法を、ウイルス定量に改良・最適化すると共に、2種類の膜を組み合わせた新たなウイルス濃縮法を開発し、水道原水における病原ウイルスの存在実態の把握と感染力有無の議論を可能とした。 また、開発した濃縮法を実際の浄水場に適用することで、ウイルスの処理状況の評価にも成功した。 更に、培養が困難なノロウイルスのウイルス様粒子※2を作製し、高感度に定量する手法を開発することにより、効率的な培養法の確立を待つことなく、浄水処理工程におけるノロウイルスの除去特性を世界に先駆けて把握することに成功した。 加えて、サポウイルス※3の高濃度精製溶液の調製法及び感染力評価法を確立し、浄水処理工程におけるサポウイルスの除去・不活化特性の把握にも世界で初めて成功した。