機械学習モデルによる単層MoS2のラマンと
フォトルミネッセンスの相関の解明

アン・ユー・ルー

マサチューセッツ工科大学 電気工学・コンピューターサイエンス学科
博士

アン・ユー・ルー

※ 所属・役職等は応募時点の内容です

研究概要

高輝度でチューナブルなフォトルミネッセンス(PL)※1を有する二次元遷移金属ダイカルコゲナイドは、発光ダイオード、光検出器、単一光子エミッタなどのオプトエレクトロニクスおよびフォトニクス分野の新たなアプリケーションをもたらした。二次元材料の標準的な特性評価ツールの中でも、ラマン分光法※2は、材料の結晶性やドーピング、ひずみなど物質の特性を高速かつ非破壊で解析できる優れた技術である。しかし、その非線形性の強さゆえに、単層MoS2におけるPLスペクトルとラマンスペクトルとの相関を包括的に理解することは、依然として困難である。そこでルー氏は、PLの発光過程とラマン発光モードとの関連を系統的に調査探索し、PLとラマンの特性を関連付けることによって、物理的メカニズムについて包括的に考察した。また、機械学習モデルを複数のラマンスペクトルに適用し、ひずみとドーピングがもたらす効果をより深く解明した。まず、空間ラマン・マップ※3からPLマップを予測するためにDenseNet※4を導入し、さらに、SHAP※5を用いたXGBoost※6を適用して、個々のラマン特性がPL特性に与える影響を評価することによって、単層MoS2におけるひずみとドーピングの関連を解明した。さらに同氏は、PL特性をラマン周波数に投影するために、SVM※7を導入した。本研究は、二次元材料の特性評価に機械学習を適用するために必要な手法を提供し、より高効率のPLを可能にする二次元半導体の作製と調整のための知見をもたらすことが期待されている。

1 フォトルミネッセンス(PL):物質中の電子が光を吸収し、その物質特有の光を放出する現象。
2 ラマン分光法:物質中の結晶格子が光を吸収し、その物質特有の光を散乱する現象。散乱される光を分光し、周波数変化を測定して物質の特性を解析することができる。
3 空間ラマン・マップ:ラマン分光法を使用して得られるデータのうち、物質表面の異なる位置で得られたラマンスペクトルをマッピングしたもの。
4 DenseNet:畳み込みニューラルネットワーク。画像やパターンの特徴を学習するために使用される。畳み込みとは、画像内の局所的なパターンを検出する処理のこと。
5 SHAP(Shapley additive explanation):機械学習モデルの予測に対する特徴の寄与度を評価する手法。
6 XGBoost(gradient-boosted trees model):勾配ブースティングと呼ばれる機械学習アルゴリズム。
7 SVM(Support Vector Machine):機械学習アルゴリズム。分類や回帰などのタスクに使用される。
1 フォトルミネッセンス(PL):物質中の電子が光を吸収し、その物質特有の光を放出する現象。
2 ラマン分光法:物質中の結晶格子が光を吸収し、その物質特有の光を散乱する現象。散乱される光を分光し、周波数変化を測定して物質の特性を解析することができる。
3 空間ラマン・マップ:ラマン分光法を使用して得られるデータのうち、物質表面の異なる位置で得られたラマンスペクトルをマッピングしたもの。
4 DenseNet:畳み込みニューラルネットワーク。画像やパターンの特徴を学習するために使用される。畳み込みとは、画像内の局所的なパターンを検出する処理のこと。
5 SHAP(Shapley additive explanation):機械学習モデルの予測に対する特徴の寄与度を評価する手法。
6 XGBoost(gradient-boosted trees model):勾配ブースティングと呼ばれる機械学習アルゴリズム。
7 SVM(Support Vector Machine):機械学習アルゴリズム。分類や回帰などのタスクに使用される。

研究内容紹介動画