ナノワイヤによるリキッドバイオプシーの開拓と次世代医療への展開

安井 隆雄

国立大学法人東京科学大学 生命理工学院
教授

安井 隆雄

※ 所属、役職等は受賞当時のものです

研究概要

細胞から放出される細胞外小胞※1は、タンパク質やmicroRNAなどから構成され、細胞間の情報伝達に関与している。細胞外小胞は放出した細胞に関する情報を有するため、病変組織から放出されたものは各種疾病の指標(バイオマーカ)としての活用が注目されている。安井氏は様々な酸化物ナノワイヤ※2構造の作製・制御技術を開発し、細胞外小胞の解析に適したナノワイヤを創出した。さらにナノワイヤと細胞外小胞の相互作用を解析し、細胞外小胞を網羅的に捕捉するメカニズムを解明した。開発したナノワイヤは、体液中の細胞外小胞の解析によるがん検知、すなわち「リキッドバイオプシー※3」の実践と、がんの予後予測や転移のしくみ解明へ展開されている。

1 細胞外小胞: 細胞から放出される膜小胞。内部に機能性分子を含み、細胞間のコミュニケーションに利用される。
2 ナノワイヤ: 直径がナノメートルオーダー(10億分の1メートル)の細いワイヤー形状の物体。
3 リキッドバイオプシー: 血液や尿などの体液に含まれる生体物質を分析する技術。
従来の組織生検と比較して患者の負担が小さいため繰り返し行える利点がある。
1 細胞外小胞: 細胞から放出される膜小胞。内部に機能性分子を含み、細胞間のコミュニケーションに利用される。
2 ナノワイヤ: 直径がナノメートルオーダー(10億分の1メートル)の細いワイヤー形状の物体。
3 リキッドバイオプシー: 血液や尿などの体液に含まれる生体物質を分析する技術。
従来の組織生検と比較して患者の負担が小さいため繰り返し行える利点がある。