画像・分光分析技術を応用した、マイクロプラスチック
連続モニタリングシステムの開発

髙橋 朋子

国立研究開発法人 海洋研究開発機構 地球環境部門 海洋生物環境影響研究センター
研究員

髙橋 朋子

※ 所属・役職等は応募時点の内容です

研究概要

現在、マイクロプラスチック(以下、MPs)汚染は世界規模で深刻化しており、より詳細な空間・時間スケールでの分布調査が求められている。 しかし、現行の調査では、海表面の情報が主であるうえ、100μm以下の微小なターゲットの情報も少ない。 そこで、高橋氏は非接触・リアルタイムで水中の化合物をそのまま計測できるラマン分光法とホログラフィック画像※1とを統合した新規の連続モニタリング手法を開発した。 この手法によりMPsを含む代表的な海中粒子の分類が可能となり、さらに、水深1000m超で測定可能な自動計測装置の開発・運用を進め、海表面のみならず深海をも含む空間的なMPs・海中粒子の分布情報の取得を目指している。 また、コヒーレント反ストークスラマン散乱法※2を利用して、流動する100μm以下のMPsや藻類を検出・分類できる測定手法も開発した。 この手法により水流中での連続的なモニタリングを実現可能とした。 本研究により、これまでにない詳細なスケールで、空間分布に経時変化を加えたダイナミックなMPs計測を実現でき、海洋汚染の早期コントロールに不可欠な要素技術としての確立が期待できる。

1 ホログラフィック画像:光の干渉と回折の現象を利用した画像取得技術。ここでは、散乱光を解析し、大容量空間の任意の位置に存在する物体についてピントの合った画像を再構築する技術として応用。
2 コヒーレント反ストークスラマン散乱法: ラマン分光法の一種。2種類の異なる光を物質に照射して生じる振動数差と試料分子の振動数を一致させ入射光と相互作用させることで、微弱なラマン信号を強制的に発生させることができる。
1 ホログラフィック画像:光の干渉と回折の現象を利用した画像取得技術。ここでは、散乱光を解析し、大容量空間の任意の位置に存在する物体についてピントの合った画像を再構築する技術として応用。
2 コヒーレント反ストークスラマン散乱法: ラマン分光法の一種。2種類の異なる光を物質に照射して生じる振動数差と試料分子の振動数を一致させ入射光と相互作用させることで、微弱なラマン信号を強制的に発生させることができる。