がんの進行過程を分子レベルで識別するためのプラズモニックナノアレイの開発
上海交通大学 医学部
准教授
ホアン・リン氏
※ 所属・役職等は応募時点の内容です
研究概要
代謝バイオマーカー※1は、がんの早期診断において極めて重要な指標であり、その高感度な検出と正確な解析は臨床判断に不可欠である。しかし、従来の診断法では、サンプル前処理の効率、検出感度、データ解釈といった面で課題が残っている。これらの問題を解決するために、黄氏は、代謝分子を効率的に分離し、高感度の質量分析※2とAIによる解析を組み合わせた新しい代謝物解析システムを開発した。これにより、代謝物の濃縮効率は従来比で1,000倍以上に向上し、光熱・電気化学制御により単一細胞レベルで約95%の代謝物を網羅的に検出可能となった。また、深層ニューラルネットワークモデル※3の開発により、肺がん、大腸がん、胆管がんなどの診断で90%以上の精度を実現し、従来法のバイオマーカー解析手法を大きく上回る性能を示した。本研究成果により、生体検査を行わずに、短時間で高精度ながん診断が可能になることが期待されている。さらに、本技術はがん領域にとどまらず、個別化医療※4、創薬、代謝性疾患の研究など、幅広い分野への応用が見込まれている。
1 代謝バイオマーカー: 生体内の代謝状態の変化や疾患の指標となる物質。
2 質量分析: 試料中に含まれる微量な物質を、その分子の質量を高精度で測定することによって特定・定量する技術。
3 深層ニューラルネットワーク: 人間の脳のようにパターンを認識することを学習するコンピュータシステム。多数の「ニューロン」が層状に接続され、情報を段階的に処理することで機能する。
4 個別化医療: 患者一人ひとりの体質や遺伝情報、生活習慣などに基づいて、最適な治療法を選択する医療。
1 代謝バイオマーカー: 生体内の代謝状態の変化や疾患の指標となる物質。
2 質量分析: 試料中に含まれる微量な物質を、その分子の質量を高精度で測定することによって特定・定量する技術。
3 深層ニューラルネットワーク: 人間の脳のようにパターンを認識することを学習するコンピュータシステム。多数の「ニューロン」が層状に接続され、情報を段階的に処理することで機能する。
4 個別化医療: 患者一人ひとりの体質や遺伝情報、生活習慣などに基づいて、最適な治療法を選択する医療。



