PAGE TOP

2025堀場雅夫賞 趣意書

<2025 募集テーマ>

次世代医療に貢献する分析・計測技術

いまだ記憶に新しい新型コロナウイルス感染症COVID-19の世界的対策において、メッセンジャーRNAワクチンの実用化とその拡大などにより感染症予防が飛躍的に進歩しました。また、 PCR検査や抗原検査の急速な普及により感染有無の判定が容易にできるようになりました。その一方でワクチンの供給能力不足や治療薬開発の難しさが顕在化し、検査や計測の重要性があらためて認識されました。

ポストコロナの現在、世界各国でバイオ医薬品とワクチンの両方に使用可能なデュアルユースの生産拠点が整備されています。平時は次世代医療の要となる細胞・遺伝子治療薬や抗体医薬品などのバイオ医薬品を生産し、感染症パンデミックの発生時には迅速なワクチン生産が可能となる体制が整えられようとしています。研究開発への投資も積極的に進められており、国が総力を挙げて、バイオ医薬品やワクチンの開発から生産までを支援しています。

この社会環境のもと、分析・計測技術に対しては、遺伝子改変された細胞の安全性や有効性を評価する方法や、薬剤投与の要否を判断するために免疫機能を確認する方法などの基礎研究が求められています。加えて、大型機器や専門の訓練を必要としない簡便な検査、迅速・正確な診断を実現する分析・計測技術も重要となります。また、バイオ医薬品の開発段階から品質を作りこむ評価技術の開発や、細胞を培養して得られた生成物や培地成分などをモニタリングする品質・製造管理技術を確立するための応用研究および生産プロセス開発も必要とされています。これらの研究開発には、「細胞」「生命分子」「培養環境」を新たな手法で分析・計測することが不可欠です。

このような背景から、2025年堀場雅夫賞の主題を『次世代医療に貢献する分析・計測技術』とし、中でも次世代医療に貢献する細胞や生命分子の新たな分析・計測技術(基礎研究)と、バイオ医薬品の開発・生産プロセスに貢献する細胞や生命分子関連の新たな分析・計測技術(応用研究および生産プロセス開発)を募集します。なお、純粋な治療法、純粋な新薬の開発など、分析・計測技術を主体としない研究業績は対象となりません。人々の健康と安全・安心に寄与する分析・計測技術の発展に意欲的に取り組む国内外の研究者からの応募を歓迎します。

 

2025堀場雅夫賞実行委員長
株式会社 堀場製作所
代表取締役社長
足立 正之
足立 正之

2025 応募要領

2025堀場雅夫賞 実行委員会