PAGE TOP

2022堀場雅夫賞 趣意書

<2022年募集テーマ>

カーボンニュートラル社会に向けた水素の利活用に貢献する分析・計測技術
 

地球資源である化石由来の石油、石炭、天然ガスは、社会の近代化や経済の高度成長を支え、グローバルな巨大経済圏を構築し、人類の発展に大きな役割を果たし続けています。その一方で、持続的な産業発展と環境保護を両立するためにCO2排出量の低減を目指すカーボンニュートラルや再生可能エネルギーの拡大など、グローバル規模で大きな変革期を迎えています。
このような変革は、決して経済成長の発展を抑制するものではありません。カーボンニュートラルの実現に向けて、積極的に産業構造や経済活動を大きく変え、さらなる発展と成長へつなげる発想の転換が必要です。
世界の主要国ではカーボンニュートラルに向けた取り組みが本格化しています。欧州は気候変動政策と新型コロナウイルス感染症の拡大による経済危機からの復興を融合させた「グリーンリカバリー」政策を提案しています。気候変動への対応や生物多様性の維持といった課題の解決に重点的に資金を投じ、そこから雇用や業績の拡大で成果を引き出す政策です。先進国を中心に各国がグリーンリカバリーを意識した景気刺激策を相次いで打ち出しており、日本においても2030年度に温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減や、2050年カーボンニュートラルの達成など、脱炭素化に向けた目標が示されています。2050年カーボンニュートラルの達成に向けては、発電とならび非電力分野の脱炭素化も重要で、特に水素の利活用が大きく期待されています。
水素の利活用促進には、水素流通ネットワークの構築と拡大がキーであり、エネルギー用途はもちろん、産業用途にとって大規模に流通させることが必要となります。 これまで水素は、主として石油精製プロセスにおける水素化脱硫など産業ガスとして利用されてきました。現在は、これらの用途以外にも石油などを代替するエネルギーの他、化学原料や製鉄などの産業用途でも利活用できる可能性が期待され、国内外で実証研究が進められています。
水素の社会実装に向けた課題は、①安定的かつ低コストで大量に供給できる水素製造技術と水素キャリア技術の確立、②水素の利活用の開拓と拡大、③国際的な水素サプライチェーンの構築、と多岐にわたって最適解を導き出す必要があります。このような課題に対して、水電解槽の大型化、低コスト化および高効率化に加え、水蒸気メタン改質の低温化や人工光合成技術といった水素製造技術にとどまらず、水素キャリア(有機ハイドライド、アンモニアなど)まで視野に入れた反応の簡略化技術が重要となります。さらには、水素利活用技術として、CO2などと化学反応させることで基幹材料であるメタノール、エタノールなどへの変換まで見据えた触媒反応プロセスの技術革新が求められています。

2022堀場雅夫賞では、これらの技術革新に寄与する先端分析・計測技術を募集の対象とします。この新しい技術分野の開拓に、意欲的に取り組んでおられる国内外の研究者、技術者の応募を歓迎します。

2022堀場雅夫賞実行委員長
株式会社 堀場製作所
代表取締役社長
足立 正之

2022年 応募要領