
2026堀場雅夫賞 趣意書
<2026 募集テーマ>
高効率なエネルギー社会に貢献する先端材料の分析・計測技術
世界がカーボンニュートラルという大きな社会目標に向かうなか、再生可能エネルギーの導入拡大や電動化の進展に伴い、社会全体の電力システムを支える技術基盤の重要性が一層高まっています。近年は、AIの社会実装の加速やデータセンターの増設、通信インフラの高度化などを背景に、電力需要が急速に増加する可能性も指摘されており、安定供給の確保と環境負荷低減を両立する技術革新が急務です。なかでも、エネルギー変換・貯蔵デバイスの高効率化と高信頼化は、省エネルギー化とCO₂排出削減を同時に実現するための重要な鍵であり、材料開発と製造プロセスの高度化が強く求められています。とりわけ、パワー半導体、二次電池、燃料電池・水電解、太陽電池などのエネルギーデバイスは、次世代の社会基盤技術として期待が高まっています。
パワー半導体分野では、電力インフラ、産業機器、電気自動車など幅広い分野での応用が期待されるなか、高電圧・高周波動作下で高効率な電力制御および変換を実現する材料や半導体プロセス技術が求められています。そのため、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、Ga₂O₃(酸化ガリウム)、ダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体材料に加え、それらの結晶成長やデバイスプロセス技術を支える分析・計測技術の開発が不可欠となっています。
蓄電の分野では、リチウムイオン電池を中心とする二次電池が、身の回りのあらゆる機器に広く浸透しています。近年では、エネルギー密度、安全性、耐久性の向上を目的に、全固体電池の実用化を目指し、固体電解質や正極・負極材料に関する研究開発が活発化しています。また発電の分野では、エネルギー源の多様化に向けて、燃料電池・水電解装置に用いる触媒・電解質膜や、ペロブスカイト型太陽電池の膜材など、発電性能や耐久性向上を目指した材料研究も進んでいます。これら電極、膜材などの材料開発においても、分析・計測技術の発展が欠かせません。
以上を踏まえ、本賞ではエネルギー関連デバイスの高性能化および信頼性向上に貢献する材料開発、ならびに製造プロセスの実現と高度化を支える分析・計測技術に関する研究に焦点を当て、2026堀場雅夫賞のテーマを「高効率なエネルギー社会に貢献する先端材料の分析・計測技術」に設定しました。これらの研究に日々意欲的に取り組まれる若手研究者・技術者の皆様からのご応募をお待ちしております。
2026堀場雅夫賞実行委員長
株式会社 堀場製作所
代表取締役社長
足立 正之

