ラボから湖へ: 励起発光マトリックスの理論から実践への航海

チェン・チーエン

中国科学技術大学 環境科学工学部
准教授

チェン・チーエン

※ 所属・役職等は応募時点の内容です

研究概要

湖沼や河川などの環境水の水質を評価する指標となる水中の溶存有機物の測定において、三次元励起蛍光スペクトル法※1は、測定の迅速さと精度の高さから有効な手段とされている。 しかしながら、この方法を用いて環境水を直接測定する場合には水の濁りが測定結果に影響する事や、取得したデータの処理が煩雑であるなどの課題があった。 Qian氏は、発光ダイオードを励起光源としたポータブルな小型の測定デバイスを開発し、自らが考案したアルゴリズムをデバイスに適用することで、水の濁りの影響を低減し測定精度を高めることに成功し、現場で迅速にかつ正確なデータの取得を実現可能にした。 この研究成果により、三次元励起蛍光スペクトル法を用いた環境水の連続的な水質評価や水処理プロセスのモニタリングへの応用が今後大いに期待される。

1 三次元励起蛍光スペクトル法:励起光を試料に照射すると、特定の波長の光を吸収し、吸収した波長より長い波長の光(蛍光)を放出する特性を持つ物質(蛍光性有機物)について、励起波光の波長、放出された蛍光の波長、および蛍光強度を三次元に表したスペクトルデータから分析する手法。
1 三次元励起蛍光スペクトル法:励起光を試料に照射すると、特定の波長の光を吸収し、吸収した波長より長い波長の光(蛍光)を放出する特性を持つ物質(蛍光性有機物)について、励起波光の波長、放出された蛍光の波長、および蛍光強度を三次元に表したスペクトルデータから分析する手法。