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グラフェン・ナノ物質の顕微ラマン分光解析

チン・ユウ(陈勇) 氏

パデュー大学 ブリック・ナノテクノロジー・センター(米国・インディアナ州)

准教授 チン・ユウ(陈勇) 氏

※ 所属、役職等は受賞当時のものです

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研究概要

炭素系ナノ材料として期待されるグラフェンの実用化には、詳細な物性情報の把握が不可欠である。

チェン氏は、グラフェンそのものや、グラフェンでできた電子部品の物性評価を目的に、試料の温度・圧力・電流制御など専用の機構を備えたラマン顕微鏡を構築し、グラフェンのCVD膜成長やグラフェンの物性を解析することに成功した。

あわせて、大面積グラフェン、単結晶グラフェンや二層グラフェンなど、電子部品への応用により適したグラフェンの開発でも成果をあげている。

今後、さらに高品質で優れた特性をもつ特殊なグラフェンの開発など、グラフェンの実用化や新たなナノマテリアルの開発に貢献することが期待される。

※グラフェン(Graphene): 炭素原子が蜂の巣のような六角格子の形で結合して、一層のシート状の形をとったもの。非常に電気を伝えやすい(電気伝導度が高い)ことをはじめ、電子部品の材料として期待される多くの特長をもつ。
※ラマン顕微鏡(Raman microscope): 試料にレーザ光をあてたときに放出される「ラマン散乱光」を利用し、分子の構造を調べる手法を「ラマン分光」という。ラマン顕微鏡では、試料の極めて狭い領域にレーザをあてて、局所的なラマン分光解析が可能。
※CVD(化学気相成長): ガスを原料として、基板表面や気相中で化学反応によって薄膜を成長させる手法。