
乳がんの早期診断をめざすシステム開発

東京理科大学
※ 所属、役職等は受賞当時のものです
論文要旨
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X線の屈折を利用して従来のマンモグラフィでは困難であった乳ガンに関係する構造組織が見えるシステムを開発中である。X線の吸収による方法に比べ、少ない被曝線量で約1000倍のコントラストと高い空間分解能が期待できる。非対称反射の回折により単色化すると同時に平面波化したX線を試料に当て、石灰化と組織構造に対応しわずかに屈折して透過するX線を角度分析板で直進X線から分離する。透過型の角度分析板を用いるX線暗視野法と名付けた方法では、角度分析板を特定の厚みにすると直進X線が透過しないことを利用し、屈折X線のみによる透過画像が得られる。またCT像を得るために屈折コントラストに対する数学形式を開発し、世界で初めて屈折原理の非浸潤性乳管ガンなどの3次元像を得た。
*東京理科大学
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研究概要
放射光を用いて生体軟組織のX線屈折コントラスト像を得るX線暗視野法を応用し、乳がんなどの早期診断システムの開発を行っている。
X線暗視野法は、シリコン単結晶の非対称反射と患部の後方に置かれたシリコンの角度分析板により、患部で屈折を起こしたX線のみを取り出すもので、がん組織と正常組織の僅かな屈折率の違いを高いコントラストで描画できる。
また、屈折像からCT像を得るアルゴリズムを開発し、非浸潤性乳管がんの3次元像の病理診断スライス像との非常に良い一致が見られた。