周波数可変ギガヘルツ光周波数コムを用いた超高分解スペクトル計測システムの研究

塩田 達俊氏

埼玉大学大学院 理工学研究科

准教授 塩田 達俊氏

※ 所属、役職等は受賞当時のものです

論文要旨

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周波数軸上に精密に等しい間隔にピークが整列した光周波数コムと周波数掃引可能な単側波帯(SSB: Single-Sideband)光変調器により高分解分光システムを開発した。本システムは1 MHzの精度と絶対周波数で波長走査できる光周波数コムを光源と、ヘテロダイン検波による検出部を備える。その精度は、波長安定化した種光としての周波数安定化光源とSSB光変調器により保証される。光検出部では、光周波数コムを構成する個々のピーク強度は光ヘテロダイン検波により検出する。また、計測できる周波数範囲は光周波数コムの広い帯域を利用することができる。実験では1 MHz線幅の光共振器とH13C14Nガスを用いて実証実験を行った。

High-resolution spectroscopy based on a single-sideband (SSB) optical modulator combined with an optical frequency comb was proposed. A frequency tunable comb was developed with a spectral resolution of less than 1 MHz on the absolute frequency axis ensured by the combination of the SSB optical modulator and frequency-locked laser diode. Also, the measurement frequency range was determined by the frequency band of an optical frequency comb, in which the peak intensity was individually measured by the optical heterodyne detection method. The performance was experimentally confirmed using a 1-MHz-width resonator and a H13C14N gas cell.

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研究概要

測定対象に光を当ててその性質を調べる測定法(分光法)では、広い周波数範囲で、かつ細かい周波数刻みで計測できれば、より多くの対象を詳細に分析できる。光周波数コムはこのような計測を可能とする技術として近年注目されている。 しかし従来の光周波数コムによる分光法では、各コムの周波数が離散的な一定値であるため、計測に有効に利用できる周波数が限られていた。

塩田氏は、従来とは異なる光周波数コム発生機構を採用することで、各コムの周波数間隔を従来の100倍程度に広げ、かつ光通信分野で用いられている技術を応用して、周波数を連続的に変化させて、コム間の周波数もすべて利用できる技術を開発した。これにより、従来以上の広い周波数範囲と細かい周波数刻みでの分光計測が可能となる。

本技術は、工業プロセスや自動車の排ガスといった多くの成分が混在したガスを成分ごとにリアルタイムで計測する必要がある分野などで、技術革新をもたらすことが期待される。

※光周波数コム:非常に正確な一定の間隔の周波数を持つ光が多数集まった光源のことで、各周波数の光を櫛(=comb)の歯にたとえて名づけられ、精密な分光計測への応用が期待される技術として、この開発に対し、2005年にはノーベル賞が与えられた。

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