新規蛍光プローブによる放射性廃棄体中および環境微生物中の重金属イオンの超高感度電気泳動法の開発

齋藤 伸吾氏

埼玉大学大学院 理工学研究科

准教授 齋藤 伸吾氏

※ 所属、役職等は受賞当時のものです

論文要旨

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現在の分析技術をもってしても,多量の妨害物質を含む試料中の微量物質の検出や化学物質のスペシエーション(化学種同定)などは困難な課題となっている。本研究では,水溶液中の重金属イオンをターゲットとして,超高感度・迅速・簡便・少試料量・省エネルギー・ロバストな電気泳動-蛍光検出法を構築した。これを達成するために,重金属イオンの錯体化による蛍光ラベル化可能な配位子群(蛍光プローブ)を開発し,その金属錯体を高度分離する電気泳動分離場も併せて開発した。これによって,環境水,生体試料,使用済み核燃料中の重金属イオンの超高感度検出法および生体試料中のタンパク結合型金属イオンのスペシエーション法の開発に成功した。

Ultratrace detection and speciation of trace heavy metal ions in small-volume samples containing a lot of interfering substances with low energy cost, rapidity and robustness is very difficult. In this study, a series of capillary and gel electrophoresis-fluorescence detection methods was developed using novel fluorescent metal probes, which fluorescently labeled target metal ions via complexing. The metal-probe complexes were successfully separated from the free probe and interfering ions, to be detected in ppt levels. Using these probes, determination methods for heavy metal ions in environmental, biological and nuclear spent fuel samples, and a speciation method for protein-bound copper ions in human serum were established.

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研究概要

電気泳動法は、溶液に高い電圧をかけたときに、試料に含まれる物質の移動速度がそれぞれ異なることを応用する分離法である。

対象成分の蛍光や光吸収を検知する検出器と組み合わせ、分離分析に広く利用される。

しかし、水環境中の重金属イオン分析に対しては、十分な感度を示す検出方法がなく、適用が難しいとされてきた。

齋藤氏は、目的の重金属イオンと結合し、安定して蛍光を発する物質(蛍光プローブ)を新規に設計するとともに、このような重金属イオンの選択的検出を実現する新しい電気泳動法を考案した。

これにより、有害物質である鉛やアクチノイドなどの濃度を、pptレベルの高感度で、かつ少量のサンプルから測定できる分析手法を確立した。

この技術は、放射性物質を含む廃水など、水溶液サンプル中の重金属イオン測定への応用が期待される。

※アクチノイド:原子番号89~103にあたる元素の総称で、放射性のウランやプルトニウムもこのグループに含まれる。

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