ナノ構造を有するシンチレータ材料の開発

越水 正典氏

東北大学大学院 工学研究科 応用化学専攻

准教授 越水 正典氏

※ 所属、役職等は受賞当時のものです

論文要旨

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我々は,ナノメートルスケールの構造を有する材料を用い,新規のシンチレータ材料開発に成功してきた。ナノメートルスケールの構造を有する材料を,シンチレータとして用いることに成功した要因は,下記の2点である。

  1. 半導体からの励起子発光に基づく,高速シンチレータ開発に成功した。これは,半導体ナノ構造での量子閉じ込め効果を利用することにより,室温において,高効率の励起子発光が利用可能となるためである.
  2. プラスチックシンチレータの検出効率を劇的に向上することに成功した。放射線との相互作用機能を担う酸化物ドメインと,発光機能を担うプラスチックシンチレータドメインから構成される,ナノハイブリッド材料開発により,プラスチックシンチレータの高速応答性と,高エネルギーX線や中性子に対して高い感度を持つ材料開発に成功した。

上記のアプローチによるシンチレータ材料開発は,希土類イオンの発光中心を用いる従来のアプローチとは一線を画すものであり,当該分野における新機軸を打ち出すものである。

We have developed novel scintillation materials having a nanoscale structure.Such materials afford two main advantages:

  1. Free exciton luminescence of semiconductor nanostructures can be usedowing to quantum confinement effects.
  2. The detection efficiency of plastic scintillators can be enhanced by fabricating plastic-oxide nanocomposite materials, which can be separated into two parts: a plastic scintillator domain and an oxide domain with which high-energy photons or neutrons interact. Based on the above approach, we have successfully fabricated scintillation materials having self-organized quantum well or quantum dot structure, and we have also fabricated plastic-oxide nanocomposite scintillation materials.

This approach is in direct contrast to the conventional method in which rare-earth ions are used as luminescence centers, and paves the way to synthesize novel high-quality scintillation materials by controlling the higher-order structure of the materials.

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研究概要

放射線があたると発光する蛍光物質はシンチレータと呼ばれ、その感度の高さや応答の速さにより、基礎科学研究から環境モニタリングに至る幅広い分野で放射線検出器として使用されている。

その一方、シンチレータとして利用されてきた既存の材料には、現状以上の応答高速化が困難という問題点があった。

越水氏は、シンチレータ材料開発に際して、ナノメートルスケールの微細な構造(ナノ構造)を構築するという手法を確立し、より高速な応答を示すシンチレータ材料を開発した。

ナノ構造の導入によってシンチレータ設計の自由度が格段にあがり、より広い用途に応用できる高性能のシンチレータ開発へつながることが期待される。

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