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ディーゼル噴霧火炎内すす生成過程のレーザー計測

相澤 哲哉氏

明治大学 理工学部 機械情報工学科

専任講師 相澤 哲哉氏

※ 所属、役職等は受賞当時のものです

論文要旨

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排気微粒子の排出が少ないクリーンなディーゼルエンジンの開発には,エンジン燃焼室内の噴霧火炎中におけるすす生成過程の詳細な理解が必要となる。筆者らはレーザ画像計測法を用い,火炎内ですす前駆物質と呼ばれる物質が生成しすす粒子に成長する領域と時期を明らかにした上で,すす前駆物質の成分や成長過程に関するより詳しい情報を得るため,新たに多波長レーザを光源とする励起発光マトリクス(EEM)法という計測法を開発した。EEM法による計測の結果,エンジンの運転条件の違い(雰囲気温度や酸素濃度の低下)により,ディーゼル噴霧火炎中でのすす前駆物質の生成や成長が,遅延あるいは停滞することなどが明らかになってきた。

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研究概要

レーザ誘起蛍光(LIF)法およびレーザ誘起赤熱(LII)法を用いてディーゼル噴霧火炎中のすす前駆物質とすす粒子の同時2次元可視化をおこない、すすの生成領域・時期を特定した。

さらに、多波長レーザを光源とする励起発光マトリクス(EEM)法を新たに開発し、これを噴霧火炎に適用した。

これにより、燃焼の進行に伴って多環芳香族炭化水素(PAH)の多環化、すす粒子への転化がおきることが明らかになった。

本計測法により得られる知見は、すす排出予測モデル構築の基礎として重要であり、低エミッションエンジンシステムの実現に大きく貢献することが期待される。